13時頃、携帯が鳴った。
画面を見たら、ジジイ(元社長)からだった。
えっ、日曜日に?マジかー!
一瞬出るのをためらったが、出た。
「もしもし」
「〇〇ですこんにちは」
(通知見たら誰かわかるわ)
「こんにちはー」
(仕事モードの時のワントーン高い声で応対)
「どうされました?」
「明日は朝何時に出発する?」
「7時30分の予定ですが」
「7時30分かぁ……」
「どうかされました?」
ジジイに話を聞くと、ジジイは会社の倉庫の鍵を自宅に持ち帰ったらしい。
倉庫の中には、僕が明日乗る4トン車が入れてある。
倉庫の鍵が無いとトラックを出せない。
ジジイがいつも出社するのは9時で、
僕が明日出発する予定は7時30分。
ジジイが7時30分に鍵を持ってきてくれたら済む話だが、
ジジイは運転免許を返納しているので、
今は自転車(電動)通勤だ。自転車で会社まで約40分はかかる。
7時30分に会社に着くには、だいぶ早く出なければならない…
「どっか今、駅まで出てこれへんかな?」
ジジイは今日中に鍵を渡したいのだろう。
「分かりました!僕が今から車で、マンションの下まで取りに行きますよ」
「そんなん悪いやん」
「大丈夫ですよ!行きます行きます!また着く10分くらい前に連絡します」
「ごめんな、頼みます」
おいおいおいおい!
ジジイよ、おめぇ、鍵持ってかえるとかボケとんか!
なんで日曜日まで
お前の顔見なあかんねん!きっしょい!
ジジイのマンションまで車を走らせた。
空いていて30分ほどで着いた。
待ち合わせ場所で待ってると、ジジイが
ニコニコしながらこっちに向かって歩いてきた。
なにわろとんねん!きっしょ!
「ごめんなぁ!」
「全然大丈夫ですよー!」
(満面の笑みで対応する)
「今日は空いてたし楽勝です」
「ホンマやな、手間かけた」
「いえいえ大丈夫ですよ!じゃあこれで失礼します」(満面の笑みで対応する)
「ありがとう」
「はーい」(最後まで満面の笑みで対応する)
というわけで、
今日は日曜日まで会いたくない人に
会ってきたというわけです。
よくよく考えたら、
明日の出発時間を9時にしても
なんにも問題なかった……笑